story7 虚構 1

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 たとえすべてが、虚構であったとしても。

 想いは確かに、ほんとうでした。











 どこまでも白い透き通った肌を、クレシア=アルゲードは愛おしそうに撫でた。
 腕におさまる小さなそれは、月明かりに照らされ、幻想そのものであるかのような陰影を生んでいた。
 薄く輝く、絹糸のような金の長い髪。見るものすべてを魅了する、青くつぶらな瞳。ただしその瞳は、瞬くことを知らない。
 人形だ。
「きれいなお月様。ね、ミーア」
 クレシアは、人形をミーアと呼んだ。
 人形遊びをする年代というものをあえて定義づけるのならば、彼女は明らかにそこからはずれているといって良かった。こけた頬は彼女を実年齢よりも上に見せたが、それを差し引いても、若者とはいいがたい。落ち着いた物腰、目の下にうっすらと刻まれた皺は、少なくとも二十代のそれではない。
 クレシアは、ひどく大切なものに触れるように人形を抱きかかえ、その頬に口づけをした。
そうして二人で、月を見上げた。遠い昔から何一つ変わらない、久遠の月。あたりまえのように満ち欠けをくり返し、いつだって静かに見守ってくれている、柔らかな月。
 どれぐらいそうしていたのだろう。
 不意に、戸がノックされた。クレシアはゆったりとふり返り、どうぞ、と声を返した。
「そろそろ夕食にしませんか」
 戸を開けて表れたのは、赤い髪の美女だった。クレシアよりも二十ほど年下であろう少女だったが、すらりとした体躯と、かわいらしさよりも美しさが際だつ容貌は、すでに完成された美を思わせた。毅然とした立ち居振る舞いは町娘のそれではなく、高貴な香りを漂わせている。
「あら、そういえば、お腹がすいたわ。わざわざありがとう、ユラさん」
 クレシアは微笑んだ。
 窓辺に人形をすわらせ、シルクのスカートの裾を払って立ち上がる。絨毯の上をすべるように歩き、燭台の火を吹き消した。
 それほど空気が動いたわけでもないだろうが、人形がコトリと倒れる。青い瞳が、静かに月を映し出す。
「あの……お人形、とても大切なもののようですけど。よろしいんですか、あのままで」
 ためらうように口にした少女の言葉に、クレシアはただ不思議そうに首を傾けた。
 人形を一瞥し、首を振る。
「大切? まさか。どこでも買える人形よ」
 笑みさえ含む声で、そう答えた。


 アルゲード邸の調理場で存分に料理の腕を発揮し、テーブルに溢れんばかりの料理を並べ終えると、黒髪黒目、黒服の青年は、さして感慨もなさそうに後かたづけに取りかかった。
 黒一色で構成された衣類は、この地方では珍しい、東方を思わせるものだった。黒髪ですら、これほど見事なものはなかなかお目にかかれるものではない。いまは、その服の上には白いエプロンが、頭の上には帽子が乗っかっていたが。
 背筋を伸ばし、実に手際よく調理器具の類を磨き上げていく。最後に持参の包丁を布で包み、懐にしまい込んだ。エプロンと帽子を手早く取り去り、感情のこもらない息を一つ。完璧な仕事だ。
「パーティじゃないのよ。いったいだれがこんなに食べるの、莉啓りけい
 ひたすらに無表情だった青年──莉啓は、聞こえた声に迅速に反応した。動くことのないように思われた顔中の筋肉が、やわらかい笑みを形作る。
 調理場の入り口に立って、呆れたように莉啓を見やっているのは、赤い髪の美女、悠良ゆらだった。
「大量の食材、どれもこれも保存に適したものではあったが──それでも、これ以上日持ちするものはあまりなかったからな。腐らせるよりは、少しでも悠良の口に入った方がいいだろう」
「あら、そうなの。これだけ大きなお屋敷なのに、使用人全員が休暇中なんて、無計画よね」
 さらりと言葉を返し、悠良はダイニングへ戻っていく。アルゲード邸に世話になるかわりに炎の料理人を買って出た莉啓は、この場合、悠良ではなく家主であるクレシアのために腕を振るうべきだったが、そういうことを指摘してくれる頼もしい相棒はいまはこの場にいない。
 莉啓に己の存在意義を尋ねれば、「悠良」という答えが返ってくるだろう。料理とて、旅先で悠良の舌を満足させるためだけに覚えたのだ。そういう男だ。
 悠良に続き、莉啓がダイニングへ移動したころには、すでにクレシアが椅子にすわって待っていた。普段は使用人も一緒に食事を取るらしく、悠良のいったようにパーティでもできそうなぐらいの大きなテーブルだ。
 そこに、今夜は悠良とクレシア。莉啓が加わったところで、たったの三人だ。莉啓はクレシアに軽く会釈をすると、悠良の隣に腰を下ろした。皿の数とテーブルの大きさが釣り合っているだけに、それを征服しようという三人が妙に浮いているようだった。
「ありがとうございます、リケイさん。ユラさんから、料理の腕は一流だとうかがいましたが……本当に、まさかこれほどだなんて」
「お口に合うかどうか、わかりませんが。突然のことにもかかわらず、快く滞在を了承してくださって、ありがとうございます。調理器具には手入れが行き届いていて、食材もいいものばかりでした。こちらこそ、感謝してもしきれません」
 無表情ながら、莉啓はいつもよりも長く言葉を口にした。黙ったまま、悠良は胸中で感嘆する。それほどここの料理環境が気に入ったのだろうかと、抱いた感想はやや的はずれなものではあったが。
 悠良と莉啓と、現在は不在のもうひとりが、突然のアクシデントを装ってアルゲード邸に転がり込んできたのは、今朝のことだ。引っ越すつもりでこの町、サリエルの都にやってきてみれば、手違いで屋敷が取り壊されていた──そういうシナリオになっている。
 隣の大邸宅、すなわちアルゲード邸に泣きつくと、ちょうど使用人が休暇中ということで、食事の準備を交換条件に、クレシア=アルゲードは滞在を快諾してくれた。計画どおりだ。
 習慣なのだろう、クレシアは右手を掲げて、口のなかで祈りの言葉を唱える。それから、ナイフとフォークを手に取った。それを見届けて、悠良と莉啓も食事を開始した。
 食事は充分にクレシアの舌を満足させたようだった。笑みを顔いっぱいに浮かべて、幼子のように瞳を輝かせ、次々に料理を口に運んでいく。その様子に、悠良は思わず顔をほころばせた。
「よかった。クレシアさん、どこか元気がないようでしたから……お口に合ったようで、嬉しいです」
 言葉が流れ出てから、その意味に思いを巡らせた。元気がない、と思っていたのは、完全に無意識でのことだったのだ。
「ありがとう、ユラさん。お優しいのね。こんな優秀な料理師がついているぐらいですもの、きっと由緒ある家柄なのね」
「いえ、そんな」
 謙遜ではなく、悠良は首を左右に振る。どこを否定すればいいのかためらって、結局口をつぐんでしまった。由緒ある家柄、という表現は的確ではないし、莉啓は厳密には料理師というわけではない。
「ああ、本当においしい。こういう幸せって、久しぶりな気がするわ。──でも、やっぱり、ぜんぶは無理ね。もったいないけれど。朝食にまわせそうなものは、あるかしら」
 ナプキンで口元を拭い、クレシアは黙々と食事を続ける莉啓に目線を送る。莉啓はうなずいた。本当は明日の朝食分は、下ごしらえした食材と合わせてキッチンに分けてあるのだが、クレシアがそういうのなら、いわれたとおりにするまでだ。
「あ、でも、もうひとり──今朝いたもうひとりが、帰ってくると思いますので」
 奇跡的に、悠良はその存在を思い出した。ああ、とクレシアが相づちを打つ。
「そうだったわね、レンさんといったかしら。あの子はたくさん食べそうだわ」
 あの子、と形容されたことを本人が知れば嘆きそうだが、たくさん食べるというのはそのとおりだった。莉啓の眉が、かすかに不快そうに歪む。彼の分まで用意する気はなかったに違いない。
 悠良は苦笑した。それから、一番聞かなければならないことを、口にした。
「……あの、旦那様は、今日は?」
 不自然な会話の流れではなかったはずだ。
 たくさん作りすぎてしまった食事。その行く末を憂えるのならば、この場にいないアルゲード家の真の主を思うのは当然だ。
 ガダル=アルゲード。複数の商店を持つ敏腕経営者で、この町ではその名は広く知られている。
 クレシアの笑顔が、急速に冷えた。
 目を細め、感情のこもらない声で、吐き捨てた。
「帰ってこないわ」
 
   * 
 
「ねえ、ボウヤ。遊んでいかない?」
 女の口からこぼれたのは、甘い誘いと酒の匂い。
 少年は顔を歪め、細い指先から逃れた。豊満な胸に気後れしたからではない、単純に酒臭かったのだ。
「悪いけど、俺はもうちょっと節操のある方が好きだなー」
 露骨に鼻をつまみ、最低限の布でしか覆われていない露出された胸を、ごく嫌そうに見る。
 サリエルのメインストリートから一本裏通りに入れば、そこは夜の町、いわゆる歓楽街だ。あちらこちらに火が灯され、開放的な酒場や賭場、頑なに戸の閉められた裏宿の類が立ち並ぶ。
 灯りの届かない、しかし完全に闇というわけではない絶妙な位置取りで、艶めかしく男を誘う女たち。ふらりと迷い込んだ旅人や、前後不覚に酔った客から金品を奪い取ろうという輩まで紛れている。
 町そのものが乱れているわけではない。サリエルの自治には定評がある。孤児や浮浪の姿はなく、犯罪の数も少ない。詐欺まがいの商法も、この都では育たない。だがそれらはすべて、昼の話だ。
 夜のサリエルでは、暗黙の了解で、ありとあらゆる商売が成立していた。形があろうがなかろうが、ここでは何もかもが商品として扱われる。
 その夜の都に、少年の姿は明らかに不釣り合いだった。
 この地方ではあまり見ない、東方を思わせる衣服。ほんの少し長い髪は後ろで束ねられ、右手には自分の身長よりも長い棒を持っている。その棒が、棍、と呼ばれる武器であることを知るものは、この地にはいないだろう。
「だったらこんなとこに来るんじゃないよ、レン坊や。女を不快にさせないあしらい方ぐらい、お勉強してから出直しといで」
 名を呼ばれ、少年──れんは、瞬時に警戒した。眼光鋭く女を睨みつけ、数秒の後、気づく。思わず目を見開いた。
「え、もしかして、おばちゃん?」
「お姉さんと呼びなって、朝にもいったね。身ぐるみはいで、うちの宿に放り込んだっていいんだよ」
 女はわざと顔を近づけ、怜の顔に吐息を吹きかける。怜は顔をしかめた。飲んだわけでもないのに、匂いだけで酔いそうだ。
「朝とは別人じゃん。詐欺だろ、詐欺。情報屋のベギーがこんな格好で客寄せしてるなんて、だれが思うかよ」
「ベギーお姉さんがこんなに美人だとは思わなかったって? 失礼なガキだね」
「いや、美人なのはちゃんと気づいてた」
 ベギーは小さく眉を上げた。おどけたような笑みの怜を、値踏みするように眺める。その真意がどこにあるのかはわからなかったが、降参とばかりにため息を吐き出した。
「……いいだろう、これが今朝の報酬分だ」
 その気になればなんでも収納できそうな胸の谷間から、紙切れを一枚。にんまりと笑んで、怜はそれを受け取った。
「ありがと。俺がもっとダンディな紳士だったら誘いに乗ってやれたのに、悪いね、おばちゃん」
「悪いと思うなら、情報料もっと払いな。旅人に対する仕事にしちゃ、破格なんだ。食いっぱぐれちまうよ」
「出世払いで」
 仕事が終わってしまえばこの町を訪れることは二度とないだろうが、怜は適当なことを口にする。それはベギーにも伝わったのだろう、彼女は苦々しく笑った。
「ダンディな紳士になったら、またおいで」

 密かなにぎわいを見せる夜のサリエルの一角に、他よりもいっそう華やぐ店があった。
 翡翠の小麦亭──ガダル=アルゲードの出資により成り立っている、飲食店だ。
 陽が落ちると同時に開店し、暗闇を待つ間もなく、店のまわりが銀の装飾の施されたランタンで囲まれる。中に入らずとも、開け放たれた大きな扉から、異国の衣装をまとった娘たちが踊る姿が見え隠れし、行き交う人々の心を揺らす。
 しかし今日は、店に入ろうとする客はいなかった。歓迎、とばかりに開放的なゲートの前に、強面の男が三人、立ちはだかっているのだ。大きさがすでに、常人のそれではない。多少の肌寒さをものともしないむき出しの両腕は、筋肉が盛り上がりすぎていて作り物のようだ。
 少しばかりの経験と、処世術を心得ているのならば、決して話しかけようとはしない類の人種。事実、だれもが近づこうとせず、遠くを通り過ぎていく。
「今日は何か、催し物でも?」
 場の空気とはまったく無関係に、怜は飄々とそのうちのひとりに話しかけた。パン屋の主人に本日のオススメを尋ねるかのような、ごく軽い口調だ。
 大男の眉が、ぴくりと動いた。
 無言で、怜を見下ろす。男よりも二回りは小さい少年。害はないと判断したのか、男の表情はそれ以上変わらなかった。
「貸し切りだ」
 重点音で、一言。怜の質問に正確には答えていないが、それ以上は問答しないという意志がはっきりと見て取れる。
 しかし、怜は引き下がらなかった。
「俺、旅の途中でここに来てるんだけどさ。滞在中に、この店に入るチャンスはあるかな。せっかくサリエルに来たんだ、こんな豪華な店で飲んでみたい」
 男の口元が、不快そうに歪んだ。
「貴様のような小僧の来るところではない」
「あれ、入店拒否? 残念、おもしろそうなのに」
「帰れ。目障りだ」
 有無をいわせぬ口調だ。去らないのならば実力行使、といわんばかりに、男の筋肉が動く。
 怜は長い棒を持ったままで、器用に頭の後ろで手を組んだ。実力行使、で突破するのもおもしろそうだが、そんな騒動を起こしたところで利点などない。
「じゃ、おとなしく帰ります」
 敬礼の形を取って、男たちに背を向ける。
 そのまま歩き出す怜の腕を、唐突に、場にそぐわない細い手が引いた。雑踏のなか、大通りに向かう路地へ引き込む。
 少女だった。怜と同じぐらいか、それよりも幼いかもしれない。銀色の長い髪を振り乱し、彼女は怜の腕をつかんだまま、必死に歩みを進めていく。抵抗するのは簡単だったが、あまりの懸命さに、怜はおとなしく従った。どうせ、これ以上は動けないのだ。
 サリエルの夜は、メインストリートに近くなればなるほど、かえって静寂が増す。歓楽街独特の、香水とアルコールの混ざった匂いが遠のいたころ、少女は歩みを止めた。
「……あんた、ママとどういう関係?」
 止まるやいなや、上がった息を整えようともせず、少女は怜を睨みつけた。青い大きな瞳が、まっすぐに射抜いてくる。
 ママ、という響きに、怜は思考を巡らせた。思い当たらない。
「どちらのママさん? 心当たりがないけど」
「ウソ。ママの家にまで居座って、ガダル=アルゲードのこと嗅ぎまわって、どういうつもりさ」
 怜は唇を曲げた。やっと思い当たったわけだが、話が繋がらない。
 ママの家に居座る、ということは、ママというのはクレシア=アルゲードに相違ないだろう。しかし、それならば、クレシアの夫であるガダル=アルゲードは「パパ」ということになるはずだ。それに、下調べの段階では、現在アルゲード家に娘はいない。
「君、名前は?」
「だれが教えるか! 質問に──」
「俺は怜。どうぞよろしく」
 棒を左手に持ち替え、怜は右手を差し出した。少女の頬が怒りで紅潮する。
「バカにして!」
 怜にその気はなかったが、そのように映ってしまったらしい。少女は右手をはね除けた。
 大げさに手をさすりながら、怜は少女の姿をこっそりと観察した。口調や気丈な様子からは、高貴な身分というよりは、下町の娘といった印象を受ける。しかし、この格好はどうだろう。真っ白な薄手の外套に、同じ素材の丸い帽子。その手の知識のない怜からみても、高級であることぐらいはわかる。
「名前を教えてくれたら、こっちも教えるよ。名も知らないお嬢さんに、あれこれ話すほど優しいお兄さんじゃないんだ。いや、優しいけどさ」
 少女は鼻の穴を広げるようにして、唇を突き出した。そのあまりにも洗練されていない仕草に、怜は親近感すら覚える。衣類だけが浮いてしまっているかのようだ。
「……ミーア。ミーアだよ。満足かい。さっさと教えな! それにあんただって、あたしとたいして変わんないじゃないか。オトナ面してんなよ」
 吐き捨てるように名を告げる。口調は先ほどよりもいっそう汚くなった。
 だが怜にしてみれば、口調の善し悪しなどどうでもよかった。表には出さないよう、急速に考えを巡らしていく。ミーア。重要な名だ。
「その様子じゃ、知ってるんじゃないの、ミーアちゃん。サリエルに引っ越してきたはいいけど、譲り受ける予定だった家が手違いで取り壊されてたんだ。クレシアさんのご厚意にべったり甘えて、とりあえずお世話になってるんだけど」
「だったらなんで、ガダルのことを調べる必要がある? 情報屋にまで頼んでさ。おかしいだろ」
 怜はかすかに目を見開いた。まさかこんな少女の口から、情報屋という言葉が出てくるとは思わなかったのだ。
「……うーん、じゃあ、教えよう」
 相づちを打ちながら、いいわけを考える。考えると同時に、口から言葉が流れ出た。
「実は、俺の雇われ先で、サリエルで新しい商売を始めようっていう動きがあってね。この町で商売をやるなら、実権を握っているガダルさんを無視できないだろ。だから、情報が必要なんだ。……内緒だよ、これ」
 できるだけ解釈の幅を持たせて、そう説明する。ミーアと名乗った少女は、眉根を寄せて考え込んでしまった。真意をはかりかねているのだろう。
 やがて、瞳を上げた。ごく小さな声で尋ねる。
「ガダルの敵、ってことか」
 怜は素早く対応した。
「まあ、そうだね。けど敵なのは、あくまでガダル=アルゲード。クレシアさんには、心から感謝してるよ。うまくいってないんだろ、あそこ」
「…………なら、いい」
 ミーアはぶっきらぼうに答えると、踵を返した。そのまま、怜の方をふり返ろうともせず、暗闇のメインストリートへ消えていく。
 ひとりになってしまえば、後方からのかすかな喧噪がいやに耳についた。怜はため息を吐き出し、急遽追加された本日のもう一仕事に取りかかるべく、気配を消して地を蹴った。






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